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求め続けるもの(2) [長編]

「ユーリ様!」

カイルが部屋を去りしばらくするとハディが

慌てた様子で飛び込んできた。

「・・・・・・」

ユーリは返事をするわけでなくうつぶせのまま拳を

握り締めていた。

「ユーリ様!」

シュラとリュイも声をかける。

裸体を覆うようにシーツをかけた。

「まさか陛下がこのような・・・」

「どうして来てくれなかったの?」

ようやく上げた顔は涙で濡れていた。

「私どもはイル・バーニ様に御用を仰せつかり・・・」

「言い訳なんて聞きたくない!」

「・・・・ユーリ様・・・・」

「陛下も男の方で・・・。でも決して傷つけるつもりでは・・・」

「愛してるって言う言葉でなんでも許されるわけじゃないよ!」

ハディはカイルの気持ちもユーリの気持ちもわかっていた。

『身体よりも心が痛い・・・。陛下が無理矢理あんな事を・・・』

「誰にも会いたくない!一人にして!!」

三人は仕方なく部屋から出た。



「陛下が理性を失われてあんな事をなさるなんて」

シュラが大きなため息を落とした。

「ユーリ様だって陛下の事をお慕いなさってるわ。

でもまだお心が定まっていらっしゃらない。陛下と母国の間で

悩まれていたのよ。そして陛下もそれでお心を痛められていた」

「姉さん、お互い好きなのにどうしてうまくいかないのかしら?」

「お二人だけの問題ではないから。ヒッタイトという国の行く末が

関わってるから簡単には答えは出せないのよ」

「今度の事だってユーリ様以上に陛下が心を痛められている

と思うわ。陛下がどんなにユーリ様を大切に想われてるか・・・」



カイルは自分の部屋でワインを飲んでいた。

耳に残るユーリの悲鳴に近い声。

満たされるどころか罪悪感が心を占める。

「それでもユーリを手放したくなかった・・・」

手で額を押さえる。



その様子をイル・バーニとキックリがこっそりと見ていた。

「陛下があのように落ち込まれる姿など今まで見た事が

ありません。本当にこれでよかったのでしょうか?」

「ユーリ様はこの世界に不可欠なお方。手段はどうであれ

此処に止まって頂かなくては。何度か二人で夜を過されれば

情もわいてこられよう」
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