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求め続けるもの(3) [長編]

「それはまことか?」

少し困惑したような表情でナキア皇太后がウルヒに尋ねた。

「まとこでございます」

淡々と答えるウルヒ。

「あの冷静なカイルがそのような事をするとは

よほどあの小娘に入れあげているとみえる。にわかには

信じられぬがそれが本当ならばあの二人を引き離す事は

容易な事。わざわざ策を弄する必要も無い」

「御意にございます」

ナキア皇太后は口元を緩めた。



「ユーリ様、どうか一口でも召し上がってくださいませ」

並べられたご馳走にも目を向ける事もなく

ユーリはどこか虚空を見詰めるだけで何も言わずに

床に座り込んだままだった。

『何もしたくない・・・。何も考えたくない・・・』

「朝から何もお口にせずこれではお体を壊してしまいます」

ユーリは小さく首を横に振った。

「ユーリ様!」

三人の心配する声もユーリの心には届かなかった。





「陛下!」

その言葉にユーリはハッとして身をすくめた。

今は会いたくない!

これ以上混乱したくない。


「下がれ!」


「ですが・・・」

ハディが困ったような顔で言葉を続けようとした時


「わたしの言葉に従わぬ部下は必要ではない!」

「お待ちください!それだけはどうか・・・」

皇帝であるカイルには逆らえない。

これ以上意に背けば女官長の任を解かれ

ユーリとも二度と会えなくなる。

それだけは避けたかった。

「ならば直ちに此処を立ち去れ」


ハディたちは頭を下げてユーリの部屋を後にした。



「何故食べぬ?」

カイルの顔が隙間がないほど近づいた。

「・・・・・陛下・・・」

怯えたように後ずさりをする。

しかしそれも限りがあった。

部屋の壁に阻まれた。

「それ程にわたしの事が嫌いなのか?」

ユーリは恐怖で大きく首を振った。

カイルの表情が苦悩に満ちたものに変わる。



「わたしたちは夫婦としての契りを交わした。

この髪もこの唇も小さき身体もわたしのものだ」

カイルの長い指がユーリの髪に絡みつく。

「いや・・・」

「何故拒む・・・?」

「やめて・・・」

「わたしを拒否などさせぬ!」

男としての顔がユーリを戸惑わせる。

「どうして・・・?」

『あの優しかった陛下がどうしてこんなにも変わってしまったの?』

ユーリは理解できなかった。

それはカイル自身も理解できない感情だった。

無理矢理こんな行為をする等愚行とわかっていた。

ユーリが心を開いて受け入れてくれる日を持つつもりだった。


『わたしはどうしてしまったのだろう。自分を抑制できない』

心を繋ぐ事ができぬならせめて身体を繋いでおきたい。

こんな行動を取らせるのはそんな考えが頭を巡らせているからだ。






















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