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求め続けるもの(4) [長編]

「陛下がこれほどまでにユーリ様を溺愛されるとは・・・。

私の範疇をも越えてしまった」

イル・バーニは大きなため息をついた。

ほぼ一日ユーリの部屋に篭ったまま大事な会議にも

顔を出す気配もない。

「わたくしも信じられません。あの冷静かつ沈着なカイル様が

これほどに盲目的になられるとは」

キックリも同じ意見だった。

「イル・バーニ様、お願いいたします」

ハディは深く頭を下げた。

「ハディ・・・・」

「陛下の不安なお心はよくわかっております。

でもユーリ様はそれ以上に心を痛められています」

「陛下はただ一人の女性を見つけられた。しかし皮肉にもその方は

正妃になるべき器を持ちながら資格を持たれていないユーリ様。

陛下はユーリ様をご自分の国に還すと言う辛い決断をされた。

しかし過ごされる時間が長くなるにつれ迷いが出てこられた。

そしてあのような手段を取られてしまった。

それ程にユーリ様を望む気持ちが強かったという事なのだろう。

出来ればこのまま仲むつまじくすごして頂きたいのだが」

「それは無理だと思います。ユーリ様は陛下を誰よりも大切に

想っていらっしゃいますがウルスラの死と言う大きな出来事が

どうしても納得できなくて陛下の心を見失いかけていらっしゃった。

そのわだかまりを取り去ることなく陛下を受け入れなかったのです。

このままではユーリ様のお心は・・・・・」




「ユーリ・・・」


どんなに身体を重ねても満たされない。


欲しかったのは心。

見たかったのは太陽のように癒される笑顔。



「何故私を見てくれぬ?受けてとめてくれぬのだ?」

苦悩に満ちた表情で脱力して横たわるユーリに問いかける。

『ウルスラを犠牲にした陛下・・・

あたしの気持ちを無視して強引に奪った陛下。

ついていけない・・・・!』


「おまえが望むならどんなことでも叶えよう」


「では・・・あたしを解き放ってください」


「だめだ!!」

今まで一度も見せた事の無いカイルの怒りに満ちた顔。


「陛下はなんでも叶えて下さるとたった今言って下さったでは

ありませんか」


「わたしから離れることは絶対に許さない!

それに此処を離れて何処へ行こうというのだ?

ヒッタイトにおいてわたしの眼がが届かぬところはない。

日本にはもはや還れまい。それとも国外に逃れようというのか?

ラムセスを頼るつもりか?」


「・・・・陛下・・・・」

両手でユーリの腕をつかみながら激しく追及する。


ユーリにはカイルの焦る気持ちが分からなかった。

カイルはユーリを力の限り抱き締めた。


「何故わたしの想いは届かぬ?ただ一言傍に居ると言っては

くれないのだ?」




























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