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求め続けるもの(6) [長編]

『わたしの言葉に偽りは無い。ユーリをわたしは必要としている。

柵などかなぐり捨てて一人の男としてユーリが欲しい!』

「皇帝陛下」

「ハディか」

何が言いたいかはすぐにわかった。ユーリをこれ以上傷つけないで

ほしいと言う願いであると。

「ご無礼を承知で言わせて頂きます。どうかユーリ様の事は

今しばらくご猶予を」

「昨日も申したはず。これ以上逆らえば女官長の任を解く」

「どうかお願いでございます!」

今回はハディも引き下がらない。

「女官長に背かれたとなればわたしの顔が立たぬ」

「わたくしの処遇はどのようにされても構いません。

この命をご所望ならば今此処で・・・」

ハディは懐からナイフを取り出し自分の咽喉元に

狙いを定めた。

「ハディ!」

「わたくしどもはユーリ様に命を救われなければ

此処に存在しておりません。わたくしの妹たちも

同じ考えでございます」

ハディは自分だけでなくリュイとシャラの命も懸けていると

言葉に含ませた。

「わたしの宮を血で穢す事はならぬ」

「ではわたくしたちの願いを叶えて下さいますか?」

「・・・・・・」

カイルは辛そうに顔をゆがめた。

これ以上無理にユーリを抱いても虚しいだけだと

わかっている。だが一度知ってしまったぬくもりを

なかったことには出来ない。

「ユーリ様が悲しむのは陛下の本意ではないはずです!」

確かに肉体の欲望だけなら他の女でも構わない。

渇望しているのは心なのだ。

あの頃は身体の結びつきをそれほど望んでいなかった。

愛されてる自信があったからだ。

もう一度あの頃に戻れれば・・・。

わたしたちはやり直せる。



「・・・・わかった。今後はユーリが心を開いてくれるまで待とう」

「ありがとうございます!!」

ハディは涙を流しながら礼を述べた。

「だが此処から離れることは許さない!」

ユーリと離れて暮らす事はどうしも我慢できなかった。

怯えられても否定されても傍にとどめておきたかった。


うつ伏せで横たわるユーリの横に静かに腰を下ろす。

そっと漆黒の髪に触れるとユーリの身体がビクリと反応した。

「わたしはもうおまえの望まぬことはしない。約束しよう。

だが悪かったとは謝らぬ。それで許されるとは思っていない。

奪ってでもおまえが欲しかった。言い訳するつもりもない。

しかし此処を離れるなどとは考えないでほしい。

ただ傍にいて欲しい。それがわたしの唯一の願いだ」

「・・・・・・・・」

「勝手な言い分だがおまえが心を開いてくれるのを

待つと決めた。話はそれだけだ」


話が終わるとカイルはユーリの部屋か退出した。



『どうしても取り戻したいものがある。

一生かかってもいい。

そのためにはこの国を守らねばならぬ』


カイルは国の繁栄のために身を削る決意を更に固めた。


















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