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求め続けるもの(7) [長編]

「一時はどうなるかと思ったが落ち着いて

こられたのならそれにこしたことはない」

ハディに二人の様子を聞きながらイル・バーニはホッとしたように

息をついた。

「ユーリ様の表情も穏やかになられてきました。

陛下も二人で過ごされてる時間は険しいお顔をなさっておりません」

「元よりお互い惹かれあっておられるのだから

時間が解決してくれるであろう」


イル・バーニが期待したような展開ではない事態が

訪れようとしていた。




「ユーリが消えた・・・?」

ハディの言葉が信じられずカイルは身体に

電撃が走ったようなショックに襲われた。

「陛下、くまなくお探し致しましたが

どこへもいらっしゃいません・・・」

ハディも困り果てた様子で焦りを隠せない。

「そんなはずはない!この宮から誰にも気づかれず

外に出るのは不可能だ。きっとまだこの宮の何処かに

いるはずだ」

「解せませんな」

イル・バーニも首をひねった。

「もしや皇太后様が・・・」

「それは考えづらい。そのような目立つ事をあの皇太后が

するとは思えぬ」

「ユーリ様が此処から消えねばならぬ理由がございましょうか?」

「ありえぬ!!」

『もしやわたしを嫌って・・・』

カイルはその考えをすぐに打ち消した。

『ユーリの事になるとわたしは冷静な判断ができない。

ハディたちの眼を盗んで誰かが連れ去るなど考えがたい。

ではユーリの意思で此処を出たと言う事か?

いや、皇太后がまた『黒い水』を用いてわたしの側近を

操ったのか?しかしそのような気配は感じられない』

「陛下・・・・」

「ハディ、ユーリを最後に見かけたのはいつだ?」

「ゆっくりお休みになられてるご様子でしたので

一時間ほど下がらせていただきました」

「ユーリはそのような時間に眠っているのも

納得しがたい」

「眠り薬でも飲まれたといわれるのですか?

わたくしどもはユーリ様が口にされるものは細心の注意を

払っております。そのようなことは・・・!」

「ハディ、何も陛下はおまえたちを疑ってるわけではない」

「申し訳ございません」

「この事は外部に特に皇太后に知られるわけにはいかぬ。

どういう事態であれわたしの手からユーリが離れたと知れたら

身が危険にさらされる。もしこの話がいち早く広まったら

皇太后がかんでると見て間違いないだろう。わたしの不甲斐なさを

追及できるかっこうのネタだから。そうでない場合、他の可能性を

考えねばならん」

「他の可能性・・・」

「・・・ユーリがなんらかの理由で自ら此処を出たと言う事だ」

カイルはそうであってほしくないと思いながら続けた。

「イシュタルという生き方を棄て別の道を選んだかもしれぬ」

『ここ一ヶ月ほど見せていた顔はわたしを油断させるためか?

いや!ユーリはそんな女ではない!!何か訳があるのだ。

そうでなければユーリがわたしの前から消える事など

絶対無い!』

カイルは心の葛藤と必死に戦っていた。














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