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求め続けるもの(8) [長編]

カイルは急く思いでユーリの部屋を訪れた。

ハディたちが言うように其処に居るべき主はなく

静観とした雰囲気が漂っていた。

静かに腰を下ろしユーリが横たわっていたであろう場所を

指先で触れる。

シーツに残る微かな移り香を愛おしそうに感じながら

目を閉じた。

求める事を止めない心。

無理強いはしない

ただ傍に居てくれるだけでいい

そう思っていても愛される事を求めてしまう。

自分を求めて欲しいと願うのは

人としての性(さが)。

「ユーリ・・・・」

『一体何があったのだ?』

ぬくもりを確かめるようにカイルはベッドに身体を沈めた。

無論、其処には温かさ等残っていない。

色々なユーリの顔を思い出した。

『カイル皇子』

屈託なく笑う無邪気な顔。

『このままじゃ還れない』

抱きついて泣き崩れた顔。

ユーリを本気で愛した事で人の気持ちが

以前より理解できるようになった。

整える為に正妃を迎えるなど無意味だと言う事。

自制心を揺らがすのはユーリだけだと言う事。

『今度こそ誓おう!

ユーリが別の生き方を望むのなら

なんとしても叶えてやろう。

ユーリの幸せを最優先に考えてやろう。

たとえそれで二人が別れる事になっても

わたしは後悔はしない!』




「陛下・・・・」

キックリが困ったような顔で少し離れた場所で立っていた。

「わかっている。政務にこれ以上支障を来たすつもりはない」

ゆっくりと身体を起こし立ち上がる。


現実に引き戻される瞬間、虚しさを感じる。


大きな野望の前には女の事など取るに足らない問題だろう。

だが自分の心の大部分を占めているのは

まぎれもなくユーリ。

このままでは前に進む事も出来ない。

決着をつける時期が来たのだと確信した。




















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