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求め続けるもの(13) [長編]

「どうしてウルスラは死ななきゃならなかったんだろう?」

「それは仕方の無い事でございます」

「人の命ってそんなに軽いものなの?

大きな夢の前では取るに足らないもの?」

「そうではありません。わたしもティトの死を乗り越えるのには

時間がかかりました。正確に言えばまだ出来ていません。

争いは悲しみや憎しみを生むだけです。ですが誰かが

世界を纏めなければ同じ事の繰り返しでございます。

今は悲しみに伏してる時ではありません。

ウルスラの事は心の奥に止めてそれぞれが笑い合える時代が

訪れた時に忘れず思い出してやるべきです」

「理屈じゃわかってる!でも納得できないの、

ウルスラの死は」

「時間が必要です。そのために貴女を此処にお連れしたのです。

しかし・・・」

タロスが話を続けようとした時、まさにその時だった。

低い笑い声と共に信じられない人物が

ユーリの目の前に現れた。



「わたしの悪運はまだまだ尽きないようだ」


「ウルヒ!!」

「何故此処に!?」


「逃亡せずにまだアリンナに居るなどと誰も考え付かぬ事」


「生きて・・いたの?」

見間違いでも幻でもない。紛れもなく目の前にいるのは

皇太后を崇拝し自らをも犠牲にする事も厭わないウルヒだった。


「生憎わたしはまだ死ねぬようです。その上このような所で

貴女と再会できるとは」


「下がれ、ウルヒ」

タロスがユーリを庇うように前に立ちはだかった。


「おまえは息子の仇だ。よもや忘れたとは言わさん!!」


「まだ形代を諦めていないの?」


「もうそのような事はどうでもいいのです。

皇帝陛下を破滅させる事など容易な事」

「どういう意味?」


「わかりませぬか?」

含み笑いを浮かべながらウルヒは訊いた。


「貴女が居なくなれば皇帝陛下のお心は崩れ去る!」

「陛下はそんな方じゃない!そのような弱い方じゃない」

「ならば試してみますか?」


「ユーリ様、貴女に何かあれば皇帝陛下に合わせる顔が

ありません。ウルヒから離れてください」



「えっ?」


「まもなく皇帝陛下が来られます。それまでにウルヒを

捕らえて御前に」


「何故、教えたの?」

「いつもでもこのままというわけには行きますまい。

ちゃんと話し合いをなさいませ」

「まだ会いたくない・・・」

「あの事は申しておりません。それは貴女が話すべき事です」



「どうやら皇帝陛下とイシュタル様は

仲たがいされてるようだが?」


「おまえには関係ない事!早く剣を抜け!」


「タロス、あたしも戦うわ。今度こそ捕らえてウルスラの

無実を証明しないとこのままじゃ可哀想すぎる!」


「皇帝陛下の御前で貴女の命を奪う、それも一興」


「黙ってやられるほどあたしはおとなしくないからね」


『先ほどまで眠ってる蕾のようだったユーリ様が

烈火のように怒りを髣髴させている。

まさにイシュタル(戦いの女神)。しかし今は静めて

頂かねば・・・』


「ユーリ様、いけません!」


「このままじゃ陛下とは歩いていけない!

自分で決着をつけたいの!!」


「しかしながら今貴女様は・・・」


「・・・・・」


「?」


タロスとユーリのやり取りを見ながらウルヒは

不自然さを感じていた。













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