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求め続けるもの(17) [長編]

「ユーリ!!」

カイルが駆け寄り跪いて両手でユーリを抱えるように掴んだ。

「今引き上げてやる!」

カイルがユーリを引き上げようと力を入れた時

足場の岩がぐらつきバランスを崩した。

両手で押さえていた状態から片手だけで支える格好になった。

「放して・・・、陛下まで・・・」

ルサファたちも手助けに行きたいが

足場が悪くこれ以上同じ位置に人が立つと

一気に崩れ去る恐れがあり近付けない。

ユーリの言葉に耳を貸さずに必死に引き上げようとする。

「放して!陛下!!」

「バカな事を言うな!」

「ごめん・・・なさい・・・」

ユーリの瞳から涙が零れる。

「謝らなければならぬのはわたしの方だ。おまえの苦しみに

気づいてやれず悪かった」

「・・・陛下・・・」

何も変わっていなかった。

皇子の頃の眼差しも優しさも。


『陛下を巻きこむわけにはいかない』

ユーリの唇がカイルの手に触れる。

「ユーリ・・・・」

ユーリはカイルの手を振りほどいた。

河に向かって落ちていくユーリは目を逸らすことなく

カイルを見詰めていた。


「ユーリ!!」

身体を乗り出し手を伸ばしてユーリの手を掴もうとするが

届かなかった。


「あなたを・・」

ユーリが何かを呟いたがカイルの耳には届かなかった。



大きな水しぶきが上がりユーリの姿が完全に消えた。



「ユーリ!!」


何度もユーリの名前を叫んだが返事はなく

赤い河が流れるのが見えるだけだった。



ルサファが素早くが後ろに引きずるように

カイルの身体を移動した


「ユーリを助ける!放せ!!」

「陛下、お静まりを!!」

ルサファだけでなくタロスや数名の兵士が

カイルを止めようと抑えるがそれを振りほどいて

元の場所に向かおうとする。

「陛下、ユーリ様の気持ちを無にされるおつもりですか!?」

ルサファの言葉にハッとするカイル。

カイルはユーリの唇が触れた左手を見詰めた。

「くそっ!!」



















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